葉音日記 (バックナンバー1998年編)
  1998.10.24 >>>
ようやく、個展も終わって、ホッとしています。
美術館という大きなキャパでの個展だったので、準備もたいへんで、今は少々二人共、気がぬけたようになっています。
今までの総まとめ的な要素もあって、いろいろエピソードを盛り込みながら、出品作品のキャプションをまとめました。そのぶん、少しホームページの内容も変更しています。
なんだか、急に寒サもやってきて、まきストーブを燃やしてみたり、ファンヒーターを点検してみたり…北国にいる頃は、もうそろそろ雪の心配をしていたので、まだまだそのくせが残っていて、
何だか冬支度をしなくては…というあせりを感じてしまいます。
でも、まだまだ、これから、紅葉のステキな季節が待っているのですよね。
淡河は、柿の実が、色よく熟し、町中より、一足早く、秋の気配を漂わせています。
 
1998.9.24 >>>
現在、発売中のインテリア雑誌プラスワン秋号にクラフトマンの暮らしぶり…ということで、
工房やギャラリーなどの紹介をしてもらっています。
あの時は、翌日が取材だというのにフランスから一時帰国していた友人のバーベキューパーティーに誘われ、夜更けまで遊んでしまったのでした。取材当日は頭がボーっとしつつも、早起きし、慌てておかたづけしたので、ちょっと、生活感のない、なんだかみょーに小綺麗な風景で、実際来られた方はうっそーと思われるかも知れません。悪しからず…。
ギャラリーの玄関で死んだように横たわって写っているのは、大家さんの所の野性犬キンタロウくんです。私たちの背後、網戸越しにおすまししているのは、我が家のおぼっちゃまネコのやんくんです。どうぞ、見つけてやって下さいね。!!
 
1998.9.13 >>>
永六輔さんの講演を聴きに私たち二人が、元勤めていた保育園に何年かぶりかで行ってきました。
理事の方々や園長先生も替わられたので、もう少し違ったイメージを想像していたのですが、
昔とそうかわりない雰囲気と面影がありました。
当時、子供たちと遊んだなつかしい木のおもちゃやテーブルが残されており…若かりし、アノ頃の事がふわーっとよみがえりました。
とにかく毎日が目のまわる程の忙しさで…きりきりシャキシャキ働いていた様に思います。
今にして思えば、もっとのんびりゆったりしてりゃーよかったものを…と少しおばさんくさい目で、
冷静に言えますが。あーやっぱり、若かったんだなあ。
10月6日〜18日に三木市立堀光美術館で、神戸に帰郷してからは、初の個展をやります。皆さん、ぜひ足をお運び下さいませ。
 
1998.8.30 >>>
昨年の今日、北海道から荷物が届きました。船にゆられ、一足先に到着していた私たちは、
改めて、9年間に増えてしまった荷物の山にア然としたものです。
はじめて、海を渡ったあの時は、RV車の屋根にふとんが一組…、みたいな着の身着のままの様な暮らしだったのですが、お引っ越しを重ねるたび(ちなみに、現在は五軒目の借家です。)雪だるまみたいにふくらんでいくものなのですね。
言葉のイントネーションの違う地方にいくのはまるで転校生になったような気分でした。
「そうだべー」とおっしゃる方に「あんたやっぱなまってるね。」なんていわれてガックリきたり、
自分ではとっても丁寧に優しくしゃべっているつもりなのに「関西弁は何だかきつい感じがする…。」と言われて落ち込んでみたり、…。
札幌(手稲区)マ十勝(芽室町)マ旭川(永山)マ札幌(南区)と道内を転々と暮らしましたが、
北海道の人達はどこも暖かく私たちを迎えて下さりいろんな所で親切にしていただきました。
今でこそ、田舎暮らしなるものもはやっていますが、当時は子供もいない若い二人が田舎に住みたいんです!!
なんていっても右翼だか左翼だか爆弾犯人みたいに思われ、芽室町の廃校になった小学校の教職員住宅に住んだ時など「変な思想はないかい?」とおまわりさんが訪ねてこられ聞かれてしまいました。
生まれ故郷を離れることで、いろんな角度で街も人もそして自分自身さえ見つめ直すよい機会になったと…今ではそう思えます。
 
1998.8.7 >>>
私はとっても動物が苦手でした。きっと、幼い頃、何度も犬に咬まれたことがあるせいで、小学校の下校途中など、遠ーくに犬を見つけただけで、ぐる〜りと遠回りをしなければ、お家に戻れない様な子供でした。
そんな私が三十路にして、どういうわけだか牧場で働いたのです。(ちょっとアニメのアルプスの少女ハイジに憧れていたのかもしれません。)
1500頭の放牧牛を相手に「きゃあーこわい!!」なんてそうそういってられなくなり、
徐々に、牛も人間と同じで感じのいい牛と、やなヤツがいるというのを発見したのでした。
人なつっこい牛は、いつもそばに寄ってきて、おとなしく、なんだか瞳も優しいのです。牛にもいろいろいるんです。牛の世話など体験してしまうと、犬なんてなんだかちっぽけな小動物にしか見えなくなり、私はへっちゃらに、犬をなでたり出来る人間に変身していたのでした。(だから、今は大家さん家の野生犬、キンタロウとも仲良しです。)
犬嫌いのあなた!!牧場生活おすすめです。半年であなたも動物好きになれますよ。
 
1998.7.27 >>>
いつも、のーてんきに生きている私たちですが、それども、こんなことでいいのやらと不安になったり、自分たちの方向性を見失いそうになったり、なんだかとっても落ち込んだ気分になることもあります。
これまでも全ての人々が私たちの仕事や生き方に好意的であったわけではありません。
ただ、そんな中でも「だいじょうぶ、好きなことだけやっていたってちゃーんと食べていけますよ。
まっ、お金持ちにはなれませんけどね。(笑)」と励ましてくれる人もいたりして、なんとかここまでやってきたように思います。
百人中、九十九人がダメだと言ったって、ひとりのいい!!という思いだけでも頑張れる様な気がします。私たちは、いつも自分の中の自分の心の声に耳を傾けています。
イヤだと感じたことは、なるべく!?うーん、絶対しないように心がけています。他人のマネの生き方はいやです。
私たちでなければ、出来ない生き方や暮らしを模索しつつ、セミの声をきいてます。今日も暑い一日でした。

保母をしていた頃の子供たちは、今やお年頃となり、青春時代、まっただ中。
先日、受け持ちだった男の子が、彼女を連れてギャラリーに来てくれました。
あとで、彼に「びっくりした?」と聞かれ…、「めっちゃ、ビックリ!!ニヤニヤして、ドキドキしたわ!」と答えました。
ずーっと、昔の十七歳の夏を想い出しました。ネオン大好きだった私が、今こうやってのんびり、
田舎暮らしをしている不思議を思います。
 
1998.7.17 >>>
急に涼しくなりましたね。神影地区のうーんと山近しの我がギャラリーは朝夕寒いくらいでした。
北の国にいた頃は、ついつい「あー、早くまきの用意(冬の準備)しなきゃ…」
とあせっていましたが、まだまだ夏は始まったばかりなんですね。
昨日、フランスの男の子がギャラリーに遊びに来てくれました。
最近、どういうわけだか、私のまわりはフランス語が飛び交っており、(なぜか、フランス人のお友達、知り合いが増えました)
関西弁と北海道弁しかわからない私はとてもさみしい思いをしています。
 
1998.7.7 >>>
結婚以来、10年目にしてはじめてのこんなに暑い、アツい、あっつーい夏を迎えています。
9年間、ずーっと北海道で暮らしてきた私たちにとっては、かなり、強烈な蒸し暑さであります。
マイナス20度30度も悲しかったけど、30度35度というのも、生きていけない気もします。
6月7月8月は、避暑を求めて、北の国に舞い戻りたいな〜そんな今日この頃です。
 
はじめに >>>
OPEN以来、つれづれなるまま…でいいから、日記風に連載しょうと思いつつ、今に至ってしまいました。ハハハ…こーんなにのーんびりした性格になれたのもきっと、長きにわたる北海道での暮らしのせいでしょう。
ではまずは、葉音(はおん)の名前の由来をお教えしましょう。
葉ずれの音の如く、さやさやと風になびく葉っぱの様に穏やかなゆっくりした時間&空間をイメージして、名付けました。又、葉音ハオン=は音=C調ということでもあり、辛く、苦しきことのみ多かりきのこの世の中、C調にご陽気にいきましょうよ…のメッセージも込められています。
子供のいない私たち夫婦にとってギャラリーの名前を考えるのは、まるで名付け親になったみたいな気分で、なんだか楽しかったのです。