葉音日記
 
  はじめに >>>
  事件の多い私たちの日常を、日記風につづっております。
優しくそよぐ葉ずれの音のように、皆様のお耳に届くと嬉しいです。
葉音がつづる、波乱万丈の日々、お楽しみくださ〜い!

 

2011.12.26>>>2011年もなんとか健康で、無事に過ごすことが出来ました。年内に間に合ったご納品もありましたが、結局、来年に持ち越しということで、ご勘弁いただたいたお客様も多くいらっしゃいます。元気だけが取り柄ということで!年明け早々から工房は、全力で製作に励みたいと思っております。芦屋イズデザインの営業は、29日まで。最終日はとりあえず開けてはおりますが、たぶん…お掃除やら床のワックス掛けなどして、夕方頃にはおしまい…の予定です。光司さんは、プチリフォームと、年末ぎりぎりまで、工房も慌ただしい様子なので、予定は未定といった所なのですが…。
今年も様々な出逢いの中、楽しい!嬉しい!面白い!時間が、めいっぱいでした。まだまだ笑えない時間を過ごしている被災地の方々もたくさんいらっしゃると思いますが、自宅全壊の先輩であります神戸っ子としましては、とにかく生きる…元気に食べる!ことが一番です。広大な範囲の中、遅々として復興の兆しは見えず、不安と焦燥で忸怩たる思いがつのるばかりでしょうが、いざ槌音が響きだすと、被災地というものは…うるさいくらいに工事の騒音の嵐となります。きっと素敵な街に生まれ変われるのだと、世界中の人々が信じ、応援しています。誰かとどこかでつながっている絆を大切に…どうか素敵な新しい年を迎えられますように、心からお祈りしています。では、皆様、どうぞよいお年を?。本年も葉音日記にお付き合いいただき、本当にどうもありがとうございました。

年末年始のお知らせ
年内は…29日夕方頃 まで
2012年は、8日日曜日より通常営業致します。
どうぞよろしくお願い致します。

 

2011.12.11>>>2011年は、三月十一日の天災が重く心にのしかかり、閉塞感で息が詰まりそうな日本の空の下、それでも生きて、働いて、なんとか時を紡いでまいりました。あっという間に暮れてゆく感もありますが、濃密な…といえるくらいに、今年もまた様々なお仕事に関わらせていただく事が出来ました。たくさん家具も製作しましたし、現場もあちらこちらが動いていきました。今年出逢ったおひとりおひとりのお顔を浮かべながら、楽しい時間を共有できた幸せを想っています。それから、これは神様の…ご褒美だったのでしょうか…三年に一度の旭川国際コンペのファイナリストに残れた目出度き記念の年でもありました。久しぶりに展覧会の企画にもあれこれ参加して、お店では出会うことのない見知らぬ方々からの励ましもたくさん戴けました。震災の記憶と共に、決して、忘れ得ぬことの出来ない、喜びも哀しみも…の2011となりました。そうして今年はことのほか、新作の椅子の依頼にも恵まれ、プライベートでは、古くからの友人知人の人生の節目のお手伝いが出来る年でもあったなぁとも思います。こんな私たちを頼りにしてくださる方が、年々、水の波紋が拡がってゆくが如く…、目に見えない輪でつながってきているようです。道端の名も無き花に話しかけるように、寄り道しながらも、前へと確実に一歩ずつ歩みを進めていくと、こんな風に思いもかけずの絆がつながり続いてゆくのだなぁと、昔の人なら死んでもおかしくはないくらいの年齢ともなると、そんなことをしみじみと思います。寿命とやらは、ずいぶんと延びて、長生きの国と呼ばれておりますが、皆、明日のことなど、解らずに生きているものです。今日を今を大切に、自分たちなりの精一杯の気持ちで駆け抜けたいと思います。
いよいよ今年も残り僅かとなりました。最後の追い込みの家具の製作と共に、来年の打ち合わせや、急なお仕事のご依頼やらで、やっぱし??、紅葉を愛でる暇もなく…どこにもお出かけすることもなく、ましてやまったりと忘年会するどころでもナシ。こんな年の瀬が、よくもまぁ、毎年続くものだと呆れ返りもしますけれど、あちらこちらでお呼びがかかるのですから、本当に有り難いことですね。今が旬やで!働き盛りやでっ!と、ハッパをかけて、今年もギリギリまで動きに動いて、働きに働いて、怪我しないでハリキって頑張りましょう。
 

2011.11.27>>>先日、テーブルやキッチンをお納めしたユリデザインさんの物件の見学会があり、始まりの少し前に立ち寄らせていただきました。一番高い天井が6メートルもある吹き抜けの大空間のある…とても心地の良い素敵なお宅です。そこにうちのテーブルやら椅子やらが、気持ちよさげに鎮座しており、柔らかな陽射しの中、家具達も馴染み、すっかり寛いでいるかのようでした。今年は、いろんな社長さん達と知り合う機会に恵まれた年でもあり、往々にして皆さんとても決断力のある方々ですので、ご好意もあり、たくさんのご依頼を受けて、あれこれ製作することが出来ました。
同年代でも、このくらいの年になってきますと、歩んできた道には、その人となりの影が、浪々と反映されており…出会いの数だけ、isDesign の子供たちが増えることが、とても嬉しく、光栄に思っています。お家の経年変化とともに、洗練された美しさが増してゆくことを、家具共々心から願っています。
11月23日は、故灰谷健次郎さんのご命日にあたります。先日、その同じ日に、大教大でシンポジウムがあり、灰谷先生を偲んでのお話を聞いてまいりました。もう五年なのか…と、時の流れに戸惑いもありますが、あの年は、一番仲良しの友人と長年暮らした家族同様のにゃんこと、私淑している灰谷先生までもが、いっぺんに私の前からいなくなるという…深い奈落の底に沈められたような、受け止めきれないくらいに、哀しく切ない…茫然と過ぎし2006年でした。月日は流れても、まだまだ、笑ってどうのこうのと言えるほど、頭の中の想い出は整理しきれていないのですが、パネラーの先生がたのお話の中で、改めて、年を重ね、生きること、生きてゆくことの意味を考えさせられる時間でもありました。永くこの世で生きていきたいと願っても、誰もがその夢を叶うことはならず、抗う事なき現実として受け止めなくてはいけません。人として、一生を終えるときには、出来ればジタバタせずに逝けたらと願いもしますが、明日のことは考えず、とりあえず、身体の動くうちは、誰かに頼られている限りは…前へと進んでいくしかないのでしょう。迷えば、まずは手を動かそう。とりあえず、ほんの少しは、気持ちも落ち着くような気が致します。さて、今冬のグレちゃんの新作のお洋服出来ました。家庭科の時間は、あまり得意ではなかったけれど、チクチク針仕事にいそしむこの時間を、今はとても好きになっている自分がいます。出来映えは…う〜ン?…まぁまぁってことにしておきましょうか。
 

2011.11.11>>>いろんな人と濃密に出会った怒濤の11月の始まりとなりました。東京ビッグサイトでのイベントは、あちらのブースこちらのコーナーと知り合いも出展しており、出会いたい方々にはちゃんと再会も出来まして、短いおしゃべりでしたが、楽しい時間を過ごすことが出来ました。匠工芸のコーナーでは、新しいrinちゃんも…。少しイメージが違っているような気もしていたら、試作品に関しての、社長さんの思い入れみたいなものを、直接お話して頂いてとっても感激しちゃいました。今回は、電話で、あまりにもバタバタと打ち合わせをしただけだったので、今後、もっともっと改良を重ね、また再び、皆様のお目にかかれる日の来ます事を…期待しております。仕事優先の東京出張でしたが、甥っ子が通っている早稲田界隈をブラブラするのも一つの目的となっていたので、大隈庭園が目の前のリーガロイヤルホテルに宿泊。このあたりでは、もうすっかり老舗と呼ばれるくらいに時が流れているようで、造りなどはもちろん重厚で趣きがあり素敵だったものの、既存の水回りの設備の方は、やはり…少々古めかしさを感じてしまうのは否めませんでした。エントランスは、すっごく気持ちよかったし、朝食も美味しかったし…、フロントの方々の対応は、とてもスマートで爽やかで…その点は、ゆったり気持ちのよい時間を過ごさせていただきました。まぁ、私たちはほとんど出歩いていて、ホテルでの滞在時間はほんの僅か、あっという間の一泊だったのですけどね。東京でガンバっている元園児ちゃんは、いきなり入籍したとやらで可愛い奥様を紹介してくれるし…、新宿で一人暮らしの叔母は、もう70歳とか言ってましたが、元気ハツラツで、めちゃくちゃ歩くのも早いし〜、夜は夜で、たまたまナカムラケンゴ君のライブが、北新宿でやっていたので、そちらに突撃訪問させていただいたり…と、いつも芦屋でのんべんだらりと…過ごしている私にとっては、かなり刺激的な街「新宿」でした。東京から戻って、後日すぐに、倉敷に椅子を引き取りに…。岡山への到着は、もう夕方近くになってしまったので、ぶらり町並みの散策も叶わず、なんとなくの雰囲気だけを味わえただけだったのが残念でした。でも、主催の守屋氏が、ギャラリーの中を、細やかに案内してくださったので、久しぶりに土塀の古いお屋敷(老舗の呉服屋さんだったそうな)の中を堪能させていただきました。椅子展のほうは、想像していたよりも会場が狭かったので、展示されている椅子達が、なんとなく窮屈そうに見えましたが、たくさんの作家さんの作品に気兼ねなく触れられるということで、お客様にも大変喜ばれたとのことでした。そんなこんなの西へ東への日々が続き、ここ数日は、御納品に追われています。お待たせしているあの方この方の製作もまだまだありますし、来年の新築やリフォームの方達のお打ち合わせも進めていかねば…。でも、こんな時に限って…「あっ、洗濯機の水がでない!」光司さんがあれこれ分解して試してくれたけど、どうもぶっ壊れたようです。思い起こせば、神戸に戻ってきた時に買い替えたもので、十年以上使いこんでいたのでした。…てなわけで、新しい洗濯機が、本日早速、我が家へやってまいります。初のドラム式。自身の経験値をあげるために、新しい機種に挑戦することに致しました。わぁ〜オ楽しみでぇす。
 

2011.10.27>>>国際コンペ2011にも選ばれたRINを、製品化に向けて、旭川の匠工芸さんが試作品として製作してくださいました。11月2日から始まる東京ビッグサイトのイベントにも並ぶ予定です。コンペで入選したタイプは、座が黒漆でしたが、試作のほうは、革座となっています。会場で見比べての皆様の評判は…果たしてどうなることでしょうか。少し世界が広がって、全国…いえいえ世界へ展開していけたらいいですねぇ。夢物語のような気も致しますが、私の一番のお気に入りでもありますので、たくさんの人に愛される椅子に、ゆっくりとでも確実に…成長していってくれることを心より願っています。rinと…凛として…つながり続く人の輪のように…チェア「リン」を、益々今後とも、どうぞよろしくお願い致します。
さて、今月10月22日からは、岡山倉敷の「ギャラリーはしまや」さんで、「蔵の中の椅子展」が開催されております。今年のテーマは、「形のやくわり」。初参加させて頂いた「CAチェア」は、いたってシンプルな椅子なのですが、前脚、アーム、後脚の接合部分を、木目の状態を見ながら…豆カンナ、南京カンナ、小刀などの手工具を使い、少しずつ削り出しをしています。肘掛けのイタヤカエデの木が、つるっつるでとても気持ち良く、光司さん会心の力作となっております。こちらも、たくさんの人の目と手に触れて頂けますように…。私たちも会期中のどこかで、倉敷へ出向きたいと考えていますが、いろんな行事とお仕事も重なり続き、スケジュールもいっぱいいっぱいかも…。十月もあっという間に終わりを告げようとしています。朝夕は冷え込んできて、いよいよ六甲おろしが身に凍みる季節がやってきました。冷たい風を頬に受けて、気を引き締めて、年末までの怒濤の日々を突っ走っていきましょう。29日の土曜日と11月3日木曜日の文化の日、誠に勝手乍ら、芦屋イズデザインは臨時休業させて頂きます。たいへん申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願い致します。
 

2011.10.9>>>日差しが少し和らいで、風もちょっぴり秋色に感じてきたので、前々から気になっていたお庭の木々を剪定致しました。桜もミモザもオリーブもどの子もこの子もワサワサに延びて、外灯を覆いかぶさってしまっておりましたので、思い切ってバッサリと刈り込んだ次第です。いやはや、やってみますと存外に…木を切るというのは、景色共々、心持ちもスッキリするものですねぇ。草木の成長は、目を見張るものがあり、それだけここに根付いているのだと、改めてこの地での暮らしの経過を実感する機会にもなりました。それにしても、月日の流れは年を経るごとに恐ろしき早さで、庭木だってどんどん大きくなっちゃうわけです。今年は、工房の仕事だけでなく、祖父の十三回忌もあるし、今月22日から始まる岡山倉敷での「蔵の中の椅子展2011」にも、初参加させて頂く予定です。来月には、東京出張も急浮上しているけれど、動いている現場の取り付けは、光司さんがいなくちゃ始まりませんしね…。身体がもう一つ二つあればいいのに…と思うくらいに、近頃は、年明けの1、2、3月だけでなく、秋から暮れの年末も、なんとももどかしいくらいに慌ただしく感じてしまいます。まぁ、私は、いつもの事務仕事と、お店番と、そろそろグレちゃんの新作のお洋服を!と、ミシンを引っ張りだしてきてるだけなんですが…。先日、ようやくひとつ、キッチン仕事が終わりました。田中/青山建築事務所さん設計の新築物件です。私もちらりとでも見学に行きたかったのですが、最後は、かなり騒然とした職人さんの追い込みがあったようなので、ついつい遠慮してしまいました。またゆっくり、拝見させて頂きたいと思っております。
さて、自分たちの仕事に追われているうち、京都の大山崎山荘での展覧会が無事終了して、可愛い椅子たちが戻ってまいりました。最終的に、なんと28000人以上のお客様で賑わったそうです。まぁ〜かなりの山奥なのに〜!やっぱり有名な美術館には、すっごく人が集まるということなのですね。企画自体も、自由に作家さん達の椅子に座ることが出来るというものでしたので、大変好評だったそうです。お気に入りの椅子ということで、アンケートを取ってくださっていたのですが、分厚い冊子にまとめてプレゼントしてくださいました。皆さん、ペンネームで書かれていますが、若い方から年配の方々、男女入り交じっている様子が、字面や文面からも滲み出ていて、一ページごと読み進める度、心がほっこりして、なんだか涙が出てくる程でした。お褒めの言葉が列挙されている中、「この椅子欲しい!」って意見もたくさんあって、感謝感激…とっても嬉しかったです。光司さんが、椅子作りにはまって、もう十五年くらいになるのかしらん…、全然見知らぬ人たちに、こうしてデザインや座り心地の共感を得られたこと、本当に作家冥利に尽きると感じています。葉音日記から、失礼と存じますが、アンケートを書いてくださったひとりひとりのお客様、どうも有り難うございました。心から、御礼申し上げます。もっともっと、座り心地のいい、皆さんに可愛がっていただけるような椅子作りを、これからも、一生懸命、頑張って続けていきたいと思っています。うちの椅子に座っていただいて…よかった!って、言ってくださって…本当にほんとうにどうもありがとうございました。
 

2011.9.24>>>いつの間にか蝉の鳴き声が、秋の虫の声に変わってきて、朝晩はめっきり過ごしやすくなりました。暑さに負けて、庭を放ったらかしにしてしまいましたので、かなり草ぼうぼう、困ったことになってきています。少しお庭の手入れなど…と気持ちも動くのですが、なかなか身体の方はついてゆかず…。光司さんは、連日の工房仕事に追われているのに…どの物件も未だ終わらず…トホホの状態が続いております。どうなるどうする!と、この季節は焦りに焦って、毎年こんな風な泣き言を言ってる気がしますねぇ。お客様に恵まれていますので、いつでも大丈夫ですよぉ〜っ、どうぞゆっくり作ってくださいと、仰ってくださる人多しで、その言葉に甘えきっているのが現状です。一生懸命、睡眠時間も削って頑張っておりますので、皆様、今しばらくのご猶予のほどを!それにしても、先日の台風は、凄まじいばかりで、日本列島を通り過ぎていきました。雨風共に、今まで経験したことのないような強烈な激しさで、自然の猛威には驚かされるばかりです。強い嵐の去った後は、一気に秋が深まりました。残暑厳しく、汗ふきシートがなかなか手放せなかったけれど、やっぱり季節は、巡り来るものなのですね。さて…、建築工事のビミョーな遅れは、内装工事の段取りを、もうムチャクチャにしてしまっている様で、取り付けに追われるばかりの四苦八苦の日々。腰のほうも、一触即発!?また、早めに針の先生の所に駆け込まないと、大変なことになっちゃうのかも…。次の新築物件もリフォームも、たくさんの椅子たち、テーブルやその他の家具たちも…待ったなしなんですけどねっ。現場工事が続きますと、グレインちゃんのひとりぼっちの時間がう〜んと増えますので、彼の場合、テキ面におなかの調子が悪くなり…、それに呼応するかのように、性格も弱冠悪くなり…、あちこちでわざと?おもらししたりするんですよねぇ。寂しい思いを、いっぱいさせてしまっているのを可哀想にって思いつつ、しばらくこの激動は続きそうなので、みんな我慢ガマンの毎日だ。すこし落ち着いたら、ドライブがてら、遠出でもしたいなぁと、願ってはおりますが、さてさて、落ち着くなんて時間が、果たしてやってくるのかしらん。まっ、前進あるのみ…頑張りましょう。いろんなお家が、順調に…滞りなくどうか進んでいきますように…。ただただ天を仰ぎ、今は祈るのみです。
 

2011.9.5>>>仙台での椅子のチャリティー展は、無事、盛況のうち終わって、皆さん全員の椅子たちが、それぞれのお客様の元へと、お嫁にいけたそう。心からよかったと安堵しています。かくいう我が実家も阪神大震災のおりは、全壊でした。燃えなかった分、荷物は結構取り出せましたから、な~んにもないってことはなかったのだけれど…しばらく仮設住宅への里帰りの日々も経験しました。神戸の人は、やはり我が身で体験した分、東北の被災地の人々の苦しみ、悲しみ、やるせなさ、もとには戻れない…延々と続く焦りと深い慟哭を、十二分に理解しているつもりでいます。ただ、今度の震災は、家だけでなく、お仕事も同時に無くされた方が多いので、阪神の時よりもずっとずっと深刻に相違ありません。取り返しのつかない原発の問題もありますし、簡単な言葉では、済ませられない現実も覆いかぶさって、時は流れても、心の痛みは増すばかり…。…と、そんな中、再びの自然災害に見舞われてしまいました。台風12号の残した爪痕は、またも人々の生活を壊滅的に、土地の形状すら変わってしまう程に、破壊してゆきました。母方の田舎が、和歌山県なので、ニュースで見知った土地の名ばかりが出てきますと、何も手につかず、画面に釘付けとなってしまいます。こういう天災って、歴史的にみても、どうも続くような気がしてなりません。どこにいても、何が起きても、肝を据えて生きていかなくてはならないと、改めて思い知らされました。工房では、一つずつ少しずつ、重なった物件のあれやこれやを、製作している真っ最中。次から次へと、材木や部品など届きますので、近頃の口癖は、「めちゃ、狭いわぁ」を連呼しています。妻の知らぬ間に、木工機械も増えているからじゃないのぉ??出来上がってきた家具たちは、芦屋のお店にも避難しておかないといけないのかも…。こんなさりげない会話の中、とにかく出来るだけ、平和と感じる時間を大切にしたいと願うようになりました。命が危ぶまれる時以外は、すべてシアワセの瞬間なのかなぁと、つくづく感じ入る夏の終わりです。
 

2011.8.20>>>オーマイガァってなことが、しばしば身に降り掛かる私たちではありますが、いろんな突然は、突拍子もなく人生に訪れるもの。一生ものでつきあおうとしていた我が家のじーサン(ゲレンデくんね…)、ちょっと試しにネットオークションに出してみましたら、高めに設定していた最低価格で落札されてしまいました。えっ、いきなりのサヨナラだ…。買い求めてから、あちらこちら修理に修理を重ね、昨年あたりから絶好調だったので、なんでやねんって思わずのけぞってしまうほどの驚き。ヴァナゴンちゃんの方は、ゲリラ豪雨には弱いしなぁ。さてさてどうするんでしょう?ということで…買い替えの車を物色していたかと思ったら、さっさと…新しい車を見つけまして、あっという間に乗り換えてしまった次第です。このように、光司さんは、時々、決断力が早いと申しましょうか…なぁ〜んにも考えてないと言いましょうか…。嫁としては、かなり唖然とした展開のお盆休みとなりました。まっ、昭和の車が平成に変身しましたので、これもまたヨシと致しましょう。ジープじゃないから、私も運転しやすそうです。頑張って練習しましょ。
さて、まったりとお休みを満喫した私とは違い、イズデザインの工房は、依頼の品々の製作と、あの方このかたとの打ち合わせが重なりまして、光司さんは、あちらこちらに出かけて、やっぱり今年も仕事ばっかりの汗を流しておりました。少し秋めいて、これから年末まで、例年の如く、一気に突っ走らねばと思っています。
今日から、仙台のギャラリー杜間道さんで、椅子のチャリティー展が、開催されています。寄付という形で、私たちも布座のスツールを提供させて頂きました。オークションで値付けして、震災に役立てるという趣旨のようです。売れないと出戻ってくるらしいので、誰かに気に入っていただけるといいなぁ…と願っております。早めに梱包していたので、写真撮り忘れてしまいました。ゴメンナサイ。
 

2011.7.23>>>湿度もぐんぐんあがってきて、暑さにへばったまま、日記も休みがち…平行して進んでいる二件の新築のお打ち合わせもあり、少々焦り気味の毎日です。そんな中、古くからの知人でもある御影のタイムレスさんが、移転されることになり、新たなお店も、ちょっぴりですが、かかわらせて頂くことになりました。御影のタイムレスの床を貼ったのは、つい昨日のことのように思い出されますが、十年以上の月日がアッという間に流れていたのですね。今度のお店は阪急夙川駅近く、閑静で落ち着いた素敵な場所のよう。また新しいスタートのお手伝いが出来ます事、とっても嬉しく光栄に思っています。このように、古くから続くご縁での仕事あり…また新しい出会いの中でのご依頼ありと…、夏バテも腰痛も吹き飛ばせ!の気合いでもって、前に進んでおります。ちなみに…タイムレスの歴史をずっと見守ってきたであろう、光司さん手づくりの木製看板は、記念に、手元に残しておいてくださるそうです!梅雨明けしてからのあまりの暑さに、我が家のゴーヤのカーテンもしなびてきていますし、日光浴大好きなグレインちゃんも、時折、口を開けて、ハァ〜ハァ言っています。お店は、お客様のこともあって、冷房を効かせていますが、休日はなるべくクーラーをつけずに頑張っているんですよねぇ。でも、尋常ではない昨今の暑さ、グレちゃん共々、熱中症にならないように気をつけねば…。今年は、有り難きことに、椅子のご依頼も多くて、先日は、初のBARのカウンターチェアを九脚、なんとか無事に、お納めしてまいりました。二人でバーになんて飲みにいったことなんてありませんので、お伺いするのを今から楽しみにしています。それから秋に向け、様々なお誘いを受けていろんな企画も進行中です。重なるあちらこちらの現場と工房とお店とを,行ったり来たりの毎日ですが、元気でお仕事に励めるのはこの上なき幸せ〜汗をふきふき頑張りましょう。
 

2011.6.27 >>>先日、雨模様の中、京都大山崎山荘美術館のレセプションに参加させていただきました。こちらの美術館は、十年ぶりくらい…。以前お尋ねしたおりは、丁度改修工事の真っ最中で、外観の概要がおよそつかみきれず終いでしたので、雨に煙る大山崎山荘もなかなかの風情で、とてもしっとりと額縁の中の絵のように映りました。日頃出合う事など出来ないような…工芸の世界の立派な先生方もたくさaんお見えになっていて、少々緊張致しました。京都で活躍されている若手木工家の面々も多く集っていらっしゃって、後で、冊子を読み返すと、師匠と弟子の間柄であったり、同じ学校のご出身のお仲間も多かったようで、京都ならではの深い結びつきも多分にあるのだろうなぁと…なんとなくいにしえの歴史を感じる空間でもありました。せっかくのこういう機会ですから、もう少し積極的におしゃべり出来ればいいのでしょうけど、何ぶん夫婦して、友達も極端に少ない内気?なタイプなもので…、気恥ずかしさでどうも寡黙となってしまい、ついつい見知った作家さんとばかりおしゃべりしてしまいました。光司さんの場合、日頃は作ってばかりなので、大阪の「うたたね」の山極さんとゆっくり話せてよかったわぁと言ってましたし、私は帰りの阪急電車が久しぶりでしたから、アズキ色が、すっごくなつかしかったです!山荘の空気感が、妙にしっとり静かだったので、そぼ降る雨音を聴きながら、しばし、ぼぉ〜っと、まったりとした時間を堪能してまいりました。居心地のよいお部屋は、漆の間あり、現代風の椅子コーナーありと、自由にお客様に座って頂ける企画となっております。九月の二十五日まで、長く開催されていますので、機会があれば、どうぞお散歩がてら、素敵な美術館を散策しに足をお運びください。皆様、どうぞよろしくお願い致します。
…と、大山崎の出来事をアップ出来ないまま、北海道へ旅立っておりました。国際家具コンペティション旭川2011の表彰式に参加するためです。でも、まさか入選の人々まで、しっかり表彰状を手渡しでくださるなんて、ゆめゆめ思っておらず…、見学しに行った感じだったんですけど、光司さんも壇上で、想像以上の晴れ舞台って感じでした。ずっと以前より憧れていた国際コンペの会場に、表彰される側として、参加する日が来るなんて…、旭川職業訓練校出身としては、かなり快挙かも〜と、改めて、光栄で嬉しく思いましたが、一枚も写真、撮ってあげていないなぁ。まっ、次回の入賞を期待することに致しましょう。事務局の方に選考時の様子などお伺い致しますと、名前などもしっかり臥せての厳重な審査らしく、聞けば聞く程に、よくぞまぁ選ばれたものだと、驚きとともに、とっても不思議な気持ちにさえなりました。最近は、CGでの応募がかなりの点数なのだそうです。アナログの手仕事を生業としている身としては、プレゼンの重要性をひしひしと実感する、貴重な体験となりました。
夜は、インテリアナスさんの飲み会にも、お誘いを受けたり、たくさんの新しい出逢いで、いつにない刺激的な夜を過ごしました。ホテルの露天風呂もすごく気持ちよかったですし、私的には、仕事半分、休暇いっぱいの嬉しい時間が持てました。
帰ってくると、自宅工房での打ち合わせなどもあって、すぐさま洗濯と大掃除に明け暮れ、いきなりの仕事モードに逆戻りです。そんなこんなで、六月は、新作と納品と旅と出逢いの濃密な一ヶ月となりました。関西のじとじとの梅雨空に負けないように、頭と身体をフル回転で、製作に没頭していきたいと思います。
各所で、お世話になった方々、楽しい時間を本当にどうもありがとうございました。
 

2011.5.27 >>>震災の影響も多々生じたけれど…オリジナルの座卓椅子をお納めして、ようやく「はなれ」の個室がゴールを迎えました。途中、肘も腰もガタガタとなり、針の先生には連日、お世話になりっぱなしでしたね。痛みとの闘いで泣きの日々ではありましたが、静謐な空間の設計と施行は、狭いながらも楽しみつつ…予算とにらめっこで創意工夫満載の創りとなりました。まだ植栽など整っておらず、きちんとオープンしていないようですが、居心地を確かめに、早々に飲んだくれに行くぞよぉと思っております。
現場工事が遅れた分、現在進行形の物件、お打ち合わせ中のあれこれで、頭の中がこんがらかりそうになっています。ひとつひとつ確実に!をモットーに製作も急ピッチで、工房での仕事を進めてはいるのですが、少し割れや気に入らないふしなど現われると、これは、イズデザインとしては、お嫁には出せないなぁ〜と、また一イチからのやり直しとなったりしまして、なかなか思うように前へは進めません。職人としての譲れないこだわりと志しは、人一倍強いようで、真摯な気持ちで常に木と向き合っております。少し肌寒い日には、そんなボツとなった木屑たちを燃やして、まだまだ薪ストーブも活躍中です。
特に、最近は、長く生業としてやってきたのだなぁと実感できるような…昔馴染みのお客様から、追加の家具依頼も俄然多しの有難きことで、納品の日は本当に誇らしく、嬉しさも倍層なんですよね。そんな日常の手仕事の合間には、他社様から、岡田先生頼みの超「高級椅子」の修理なんぞもちょこちょこご依頼を受けますので、「その椅子、よその椅子やで〜うちのと違って高いんやで〜触らんといてぇ〜!」とグレちゃんも叱られてばかり…の今日この頃となっています。
例年より少し早いそうですが、近畿地方もすでに梅雨入りとなりました。曇より気味の重い空の下、納品用に活躍している愛車ヴァナゴンちゃんは、雨が降るとぐんと調子も悪くなるので、なんだか気がかり。来月には、これで東京納品を目指してるんですけど、果たしてたどりつけるのやら…大丈夫かなぁ。お世話になっている建築家の先生方の新築物件は、いずこも順調に進行しているご様子。家具部門の製作もいよいよといった感もありますが、身体を労りつつ、車共々、なんとか無事に梅雨を乗り切りたいと思っています。
 

2011.5.7 >>>芦屋イズデザインのある鳴尾御影線という通りは、私が若かったころは、渋滞の激しい二号線と四十三号線の車の抜け道のような、とても長閑で、あまり人けもない…どちらかというとひっそりと寂しげな道路でした。それが、気づけばどんどん新しい飲食店なども増えていき、芦屋打出間が、よく雑誌にも取り上げられるようになってまいりました。街は、こうして人気スポットになってゆくのだなぁと不思議な実感があります。日本中、何処も似たり寄ったりの集合施設が多く感じる中、個性的な個人商店の集まりは、とても芦屋らしく思いますし、ケヤキ並木の道行く人々を笑顔にさせる癒しの効果も持っているようです。お散歩する道の途中、さりげなく…ショーウインドーを飾る椅子たちは、なんとも幸せな限りです。
MYチェアを、オーダーする…そんな時代がこんなに早く実現する日々が来るなんて、夢にも思っていませんでした。まだ十代だった頃、芦屋に来ると、なんだか心がほっこりして、穏やかな気持ちになるのが、なんであったのか、今この部屋で、まったりと長い時間を過ごすうちに解ってきたことがあります。この土地の緑の風と、芦屋の人のぬくもりは、なんとも心地よく、優しい気持ちにさせてくれます。この辺りの暮らしには、この地を愛する気持ちが、いっぱい詰まっていて、文化を育む土壌がしっかりと根付いているのだと感じます。ひとつひとつ丹誠を込めたisDesignの椅子達が、芦屋ブランドの一員となる日を夢見て、世界に翔ばたいていけますよう、これからも確かな足取りで歩んでいきたいと願います。
庭に植えたライラックが、ひとまわり背も高く成長し、庭影のすずらんと共に、うまい具合に同時期に咲いてくれました。白い可憐な花々は、北海道で暮らした日々を甘酸っぱく甦らせてくれ、とっても懐かしい気持ちに引き戻してくれます。
ゴールデンウイーク、光司さんは、製作に大忙しで、工房中心の毎日となってしまいましたが、この北海道を代表する花達が、遠い果てに想いを運んでくれて、心だけ、ほんの少し旅をしているようでした。
連休中は私とべったりだったグレインちゃんは、半日だけ、ドッグランへ!可愛いパピーのイタグレの女の子達にたくさん出逢って、大興奮していたのですが、日頃の運動が行き届きすぎているせいかしらん?彼の場合、目立つ程に筋骨隆々、やんちゃ盛りでガサツなため、あまりお相手はしてもらえず…クォ〜ンくぅ〜ん、グレちゃんの寂しげな鳴き声だけが、芝生の上を響き渡っておりました。う〜ん、やっぱ、飼い主に似て…モテナイんだねぇ。
 

2011.4.24 >>>未曾有の震災から…早や一ヶ月以上が過ぎました。ソメイヨシノも春の雨に打たれ、あっという間に淡いピンクの花びらが、庭一面に散り散りとなり、無情な時の移ろいを感じます。せっかくのお花見の季節は、いつもバタバタとした年度始めで、ゆっくり花見酒も味わえず終いでしたが、休日には、グレインちゃんと並んで、二階のリビングからしみじみと眺めました。すぐに葉桜となってしまい、寂しくなっちゃったなぁと思っていたところ、いつもお料理に活躍している月桂樹に、レモンイエローの絵の具を混ぜたような乳白色の可愛い小花が、たくさんついていたり、その隣のライラックにも元気な花芽がいっぱいと…三、四年たって、適当に植え込んだ草木たちが、少しずつ賑やかな色合いを見せてくれるようになってきています。早く芝生を敷き詰めて、足元軽やかに、グレちゃん専用のドッグランにもなるといいなぁと、お仕事が一段落する時を心待ちにしています。
そんな中、一ヶ月遅れだった(こちらも震災の影響ですが…)国際家具デザインコンペティション旭川の結果発表がやってきました。今まで、一度も一次審査すら突破したことなどなかったけれど…ついに2011年、念願の入選を果たしました。もちろん本人は、いつだって、一等賞のゴールドをねらっての出品なのですが、三年に一度しかない国際コンペを意識しすぎてか、普段の作品ぽくないものばかり?だったような。今年はやはり原点に戻って、初めて個展に出品した作品をRe designしてみようと、改めて練り直しての作業となりました。足元を見つめ、自分の作品と改めて向き合い、凛とした佇まいが、つながり続く輪廻を思わせる、「RIN」チェアが誕生致しました。

試作は本人が製作し、コンペ作品は、地元旭川の企業に協力して頂く方法を取りました。入賞された皆様の略歴など拝見しておりますと、美術系、芸術畑の専門大学出身ではない彼の作品が、そもそも一次審査を通過したことすら、なんだかもう奇跡なのでは!?仕事優先で、ここしばらく、日本国内のコンペ等には、全く参加しておりませんでしたが、この国際コンペだけは、「自分自身への挑戦」との強い思いから、連戦連敗を続けていたというわけです。選んで頂けたこと、入選できたこと…心から感謝したいと思っています。
ひとまずは、おめでとう〜良かったねぇと、二人で赤ワインで乾杯致しました。
六月は、京都の大山崎山荘美術館で開催される、関西の作家さん達の椅子展にも参加させて頂く事になっており、久しぶりの表舞台といいましょうか、レセプション多しの月になりそうですね。
いろんなお客様から、依頼を受けております様々なお仕事も、なかなか捗らずの状況で、そうそう浮かれてばかりもいられませんが、日本の大変なこの年に、世界から集まった応募の中から、選ばれし栄誉を励みとして、皆様に喜んで頂ける様、よりいっそう精進していきたいと思っています。
 

2011.4.2 >>>庭の花々が、少しずつすこしずつ…色とりどりの姿を見せ始めました。スノードロップの小花が揺れていたと思ったら、白いクロッカスが顔を覗かせています。震災のテレビに釘付けになっている間に、ミモザが、太陽みたいに真っ黄色に染まって、待ちかねていた春を告げていました。ここ二、三日の陽気で、桜の花も一気に開花が早まりそうな気配です。日本中が、一喜一憂しながらの落ち着かない日々、とうとう我が芦屋の現場でも、実際にボードなどの材木が手に入らない事態となってまいりました。阪神大震災の時もたいへんだったそうですが、今回も震災の翌日から、ホームセンターなどでも買い占めがあったのだとか…。政府が、被災地のために材木の確保をしているらしく、出荷を制限している??…なんて噂も聞こえてきて…ひとり親方としては、右往左往するばかりです。我々個人レベルの木工家が使う量など、さほどしれているようなものですが、それでも、何もなければ、仕事が捗っていかないわけで、たちまち窮地に追い込まれてしまいます。港も船も家も職場も…すべてを失くした被災者の方々の心労を思えば、まだなんとか…やれるだけのことをコツコツとやっていくしかないのだなぁと、胸の奥深く深呼吸をして、今できることに、精一杯取り組んでいます。店舗工事の遅れはなかなか取り戻せないでおりますが、お待たせしていたTVボード、ソファや特注の収納家具の設置は、それぞれ無事に完了することが出来ました。どちらのお客様にも満足していただけたようで、嬉しい限りです。「ありがとう」の言葉は、不安と焦りの気持ちをどこかに吹き飛ばしてくれるすごいパワーを持っていますので、お客様からのお褒めの言葉は、本当に勇気凛々、元気をもらえます。
テレビの報道は、ほんの一握りで、その映像の影には、何千何万の人々の苦い涙のあることを、神戸の人間はよ〜く知っています。長い長い避難生活は、まだ始まったばかり。どうかご自身を、そして明日の日本をしっかり信じて、今日の一日を無事に過ごしてくださいますように。16年前の震災で焼け跡だった場所は、たくさんのビル群で埋め尽くされ、驚く程の変貌ぶりです。わたしにとっては、ほんの少し見慣れぬ神戸の街となってしまいましたが、東北だってきっと大丈夫。災害に強い、地元の人が笑い集える最先端の未来都市に、必ずや生まれ変われるはずです。
悲しく厳しかった三月が、ようやく終わりました。四月は、新しい年度の始まりにふさわしい一歩が踏み出せるよう、地震国で暮らす者として、一人一人が力を合わせて、今の日本を…なんとか生き抜いていきましょう。
 

2011.3.19 >>>がれきの山を呆然と見つめる被災者の方の後ろ姿に、あの日の自分が重なります。届かぬ情報、安否の確認が出来ない不安と焦り…。ただ時間ばかりが過ぎる沈黙の中で、何もできないもどかしさ…。とうとう死者の数が,阪神大震災を越えてしまいました。行方不明の方々は、まだまだたくさんいらっしゃいます。高速道路が落ちたあの光景も、俄には信じ難い出来事だったけれど、津波で一瞬のうちに消え去った街の風景は、唖然を通り過ぎて、慄然とするばかり。荒涼とする一面の無の世界は、痛々しく胸に突き刺さり、改めて自然の脅威を感じます。原発という目に見えない恐怖も重なって、被災地の方々のご苦労を思うと、やるせなく憤りすら覚えます。家族を失い、家を失い、故郷を失った人々に、しばらくは続くであろう…我々も辿った苦難の日々を考えると、胸が張り裂けそうです。今はただ、うずくまっているだけでも構わないですから、少しずつ元気をだして、前を向いて、空を見上げて、ゆっくりと、生活のための一歩を踏み出していって頂けたらと願います。阪神大震災の教訓も、少しは生かせる事もあるでしょう。けれども、今回の地震は、あの震災とは比べものにならないくらい、途方もなく広大な地域に及んでいます。甚大な被害を被った被災地の全てが、復興を遂げるその日のために、何時だって何処にいても、心からの祈りを捧げています。あの日の記憶を、未だに整理の出来ていない神戸に生きるひとりとして、いつか想い出に変わるまで…共に苦しみ、共に泣き、共に礎を築いていけたらと、そんな気持ちでいっぱいです。
今まさに、現地で懸命に走り回ってる方々も、どうぞご無理のないように…順番にどうか休んで、皆で励ましあっていってくださいね。せっかく生き延びた命を、頑張りすぎて、震災後に亡くしてしまう悲しみも、身近には多々ありました。今は、まだ笑えない日々でしょうが、少しだけ、ほんの一瞬だけでも…楽しいことが見つかる時が、一日も早く来ますように…。
時間軸を追って、私たちのベストに出来る事を…寄り添いつながり合いながら…作り人としても、やれることをやれるだけ全うしていければと思っています。
 

2011.3.6 >>>確定申告のこの時期は,頭の中が数字でいっぱい。企画製造販売まで、一手に引き受けておりますイズデザインと致しましては、毎年ずいぶんとややこしいのです。棚卸しもありますしね…でも、ようやくゴール!かなりぐったり疲れましたが、なんとか肩の荷も下りて、ほんわか気分になってきました。春の気配がじわりじわり…そろそろ日焼けも気にしていかないといけませんね。いよいよ「はなれ」の店舗が、具体的に進行しはじめました。工房での仕事も平行し、お待たせの製作も続けていますので、現場が始まってしまうと、いずこにも遊びにいけず、犬も嫁も放ったらかしとなります。そんな中、展覧会のお誘いやら何やらと、忙しさに拍車のかかる年度始めです。気づけばもう三月なんですね〜ありゃまぁ。夏にかけての様々な企画がありそうなんですけど、またハッキリと決定次第、お知らせできればいいなと思っております。
そういえば、先日、光司サンは、急に足が痛いといって歩けなくなり、(後に靭帯を痛めていることが判明したのですが…)私は、てっきり「痛風」かと…思ったりなんぞして、身体のあちこちに痛みの多き年回りでもあります。足も腰も腕も指も…、満身創痍の態で、頑張ってはいるのですが、ご納品の遅れは、一向に解消していかず、お客様には多大なご迷惑をおかけするばかりです。様々なご依頼の中でも、昨年来より、椅子のご依頼がぐっと増えたような気がしています。最近の出来上がってくる椅子を眺めておりますと、時は移ろい巡り巡って、木工を始めた頃にまた戻ってきたような。たぶん、自分の好きなラインと取り組んだデザインが、彼の場合、さほどにはぶれていなかったんだなって、改めて感じたりも致します。座り心地の良い椅子は、傍から観察していてもデザイン的にも美しく、もちろん、仕事を始めた当初より、技術力が備わったぶん、椅子の完成度は、かなり高くなってきている?かも〜。背もたれの曲げを独りで製作するために、ウインチの機械を導入したりと、またまたの設備投資連発で、頭の痛いことも度々ですが…。
お仕事以外の事件といえば、なんと高速で車が止まりかけました。アブナイアブナイ。隣に乗っていた私は、一瞬焦りはしましたが、毎度のことかと、ドキドキもせず…我が家の車は二台とも、超レアものなので、いつなんどき何処でどうなるやらわからない、すごくスリリングな相棒たちです。どちらも何度も修理を重ねておりますので、車のことなど何もわかっていない私ですら、ミョウな愛着が湧いてきてしまい、なかなか手放すことが出来ません。電気自動車のエコ感覚とはまた視点が違いますが、古いレトロな車を乗り続けてゆくことも、それなりのエコなのでは?と、自らを、勝手に納得させています。エコカーポイントで、たぶん簡単に廃棄処分されてしまったであろう往年の名車たちを想いだし…胸の中がキュンと切なさでいっぱいです。イズデザインの家具たちも、時代に流されず生き延びていけますように…と、子々孫々、後世まで残せるクオリティの高さを、日々追求していってもらえれば…そう心から願います。
 

2011.2.12 >>>連休は、関西でも珍しくぼたん雪がちらほら…、神戸方面はそんなにひどくはなかったけれど、大阪の阪神高速は全面ストップだったから、すごいことになっていたのでしょうね。時折降るこちらの雪とは違い、雪国の映像など見ていますと、日常生活もままならない様に心痛めています。日々の雪かきがどれほどまでにたいへんなことか…は、十年近く雪国で暮らした経験のある私には痛い程に解ります。これでもかこれでもかと降る雪は、除雪はなんとかなっても、排雪がままならず…。少しずつでも溶け出していってくれたらいいのですが、あまりにも大量の雪を一度に捨ててしまうと、川全体が、埋まってきちゃうのよね。深く大きな川ですら、どこまでも雪原の大地となり、果てなくつながってゆきます。冬に雪の積もらない生活のなんとラクチンなことかは、ずっと内地で暮らしている人には想像だに出来ないことでしょう。雪国の人々の暮らしが、一日でも早く楽になるといいのだけれど…。
昨年から続いていた新築物件、生成りの優しい塗り壁が、とっても上品に仕上がって、もしも私に、娘と息子がいたのなら…、きっとこんなお家に住みたいな〜っていう理想の家が、ようやく完成致しました。地盤のことやら建材やら、建築家の田中先生もいい経験になりましたと唸る程、とにかく次々にクリアしないといけない問題が山積みで、工務店さんはじめ皆さん、精魂尽き果てた感があります。最後は、収納アドバイザーの林先生にも登場していただき、キッチン廻りのお片づけのお手伝いをしてまいりました。すべての荷解きを済ませ、日常を取り戻すには、まだしばらくかかるとは思いますが、これから始まる暮らしの中で、家族仲良くゆったりと、穏やかな日々を積み重ねていっていただけたらいいなと願っています。
そんなこんなで、ズルズルとお待たせのお客様のご依頼が、どんどんたまってきてしまいました。あれもこれも取りかからないといけない物件で、頭を抱えておりますが、楽しいことも少しはないとね…と言う訳で、午前中の早い時間に、大阪で開催されているルーシー・リー展へ!単品ではたぶん見たことがあったと思われるのですが、初期の作品からずっと系譜に従って、順番に見る事が出来たので、すごくよかった。最後のお部屋では、インタビューの映像が流されており、動くルーシー・リーも拝見することが出来ました。とってもチャーミングなおばあちゃまだったけれど、作品には、やっぱり人となりみたいなものが出てくるのね〜って、改めて思った次第です。何より、世間的に、売れだしたといいましょうか、仕事として成り立つようになったのが、65歳だっていうんだから、私たちがどれほど勇気づけられたことでしょう。70代80代の円熟期と呼ばれる時代に作られた器たちは、静謐な完成度の高さ、そうして、作品の持つ凛とした佇まいに、圧倒されるばかりでした。まさにルーシー・リーの人となりそのままの器たちを目の当たりにして、知らず知らずのうちに涙が零れ落ちそうにもなりました。ろくろをまわす真摯な姿に、彼女の内面から溢れる逞しさとひたむきさ、人生は好きなことをして、楽しむものよって、なんだか教えてもらえたように思います。心から、ありがとうの感謝の気持ちでいっぱいになりました。
新しく紹介して頂いた雑誌では、若い木工家さんの中、光司さんは、もうしっかり中堅どころの域に達しているようでしたが、ルーシー・リーと比べれば、まだまだヒヨッ子ですね。今出来るすべての力に丹誠をこめて、あの方、この方のご依頼の品々を完成させていってもらいたいと思います。
 

2011.1.17 >>>いつも一年の命運をかけております西宮のえべっさんのおみくじ、光司サンは吉だったけど…、私は、大吉をゲット。幸先のよいスタートだなって、思った矢先、あの大混雑の人混みの中、お友達のダンナ様と久しぶりに対面するという奇跡の出会いが!「なんで〜?!」ってお互い顔を見合わせて、ビックリ仰天。たぶん亡くなった私のお友達が、近くにいてるでぇって、逢わせてくれたのね〜お互いの近況など、ほんの僅かの時間でしたけど、語り合うことが出来て、とっても感激でした。
こんな風に、時々、きっとこれって、「神のハカライ」に相違ないと思うような瞬間を体験することがあります。だから私は、そういう不思議な…自分の力では決して及ばない、見えないチカラ…みたいなものをどうしても信じたいと思っているのです。このお仕事をしておりますと、どう考えても、出逢えないような方々とお知り合いになれるチャンスもありますしねぇ。だから、人生って、とってもおもしろいなって思いますし、出逢えた奇跡に感謝しながら、ここまで歩んでこられた気も致します。
寒波襲来で、街中を吹き抜ける風は、とても冷たいけれど、頬に受ける陽射しが、なんとなく穏やかに感じられるのは、だんだん春に近づいていってるせいかもしれません。北海道で暮らしていた頃、つららが解け始めた滴の先っぽに、春がそこまでやってきているような気がしました。眩い光を浴びていると、あの時と同じ…春はすぐソコまで?って、待ち遠しい気持ちになって、蒼く澄んだ空を見上げると自然と頬もゆるみます。
流れ行く雲に、あの日の記憶を重ねれば、つい昨日のことのようでもあるし、ずっと昔むかしのおとぎ話にあったみたいな想い出にすり替わっていってるかのようにも感じます。彼女なら、今をどう過ごしていたことでしょう…人としての生き様を誰かに問うのは難しいことなのかもしれませんが、いつもこの季節が巡り来る度に、やるせなさと寂しさで、胸塞がれる時を過ごしてしまいます。あの震災から、16年が経ちました。光だけが約束してくれている春は、きっともう近くまできています。
 

2011.1.8 >>>新年あけましておめでとうございます。
やってきました、ウサギ年!
2011年は、大いにピョ〜ンと飛び!跳ねまわりたいと思います。
…がしかし、そんな思いとはうらはらに、大晦日から元旦の寒波には勝てず、まったりのんびり…ゆるゆるしながら、過ごすことと相なりました。
けれども、おせちもそれなりにガンバって作りましたので、テーブルの上は、お正月ぽいメニューが並んで、雰囲気だけはいい感じだったかな。
今年は、年明け早々に、店舗のお仕事もありますし、年末に間に合わなかった家具もいっぱい…。
そうそう飲んだくれている訳にもいかず、「はなれ」のデザインを考え、工房でのあまりウルサくない細かい仕事から手を付け…と、好きな仕事を生業としているシアワセを、しみじみと実感できるような一年の始まりとなりました。
すでにいろんな打ち合わせも、本決まりとなってきておりますので、例年以上に忙しい年になりそうな嬉しい予感。
楽しく…記念に残る一年にどうかなりますように…と、今から夢と希望で胸を膨らませております。
元旦から、ある程度、頭と身体を使っていたせいか、いつもみたいにお正月に、風邪で寝込むこともありませんでした。
小さなケガやちょっとした油断は良しとして、大きなトラブルには巻き込まれませんように…と、祈るばかりです。
プライベートでの心に引っかかっていたことや面倒な様々な事態が、昨年のうちにあれもこれもと、一気に解決したこともあり、気分も晴れやかに、新たな気持ちで、新年を迎える事ができました。
光司さんも私もわんこのグレインもカメのツンちゃん(只今、冬眠中)も、みんな健康一番で、元気で張り切ってまいります。
素敵な人やモノ、時間や空間、たくさんの良き出逢いに巡り会えますように〜。
穏やかに、そうしていつも笑って!生きていきたいと願います。
では、本年もどうぞよろしくお願い致します。